教員ブログ

2025年11月

2025.11.11

『時をつなぐ同窓会』

 執筆者:リタ学園 奈良学習館 教員:𠮷田 裕子(よしだ ゆうこ)

先日、還暦記念ということで高校時代の学年全体の同窓会が開かれました。

卒業生の約半数が出席し、会場は懐かしい仲間との再会に大いに盛り上がりました。
といっても初めのうちは、外見では誰なのかわからなかったり、顔はわかるけれど名前が出てこなかったりと少々ぎこちない会話が行き交う場面もありました。
しかし、すぐに皆高校時代に戻った気分になり、当時の懐かしい思い出話に花を咲かせていました。
 
そんな中で、ひとりのクラスメイトが小さなポケットアルバムを見せてくれました。
そこには文化祭で私達が演じた劇の数々の場面のスナップ写真が収められていましたが、一緒に一枚の紙が挟まれていました。その古びたルーズリーフ用紙にはクラスメイトたちの名前と写真に振られた番号、枚数が記されていました。
カメラ好きのクラスメイトが写真係となり、舞台の写真を撮影して現像し、アルバムに入れてその紙と一緒に回覧する。
まだデジタルカメラすらなかった時代、生徒達は現像された写真を見て、その仕上がりに声を上げながら、自分が欲しい写真の必要枚数を記入する。やがて焼き増しされた写真と交換に写真代を支払う。
当時はそんな方法が主流だったことを思い出しました。
確かに私自身のアルバムにもそのうちの何枚かの写真が収められています。
いまやスマートフォンで撮影、瞬時に写真を確認し、皆に配付をすることができます。今回の同窓会でも撮影した写真はすぐにLINEで届けられました。便利な世の中になりましたが、一方で何をするにもスピードが要求され、「待つこと」が苦手になっているように感じます。
同窓会は二次会、三次会と続きましたが、あっという間に時間が過ぎました。翌日、クラスのグループLINEには、「タイムトラベルから戻ってぼんやりしている」というようなメッセージが複数投稿されていました。私自身にも現実に戻れないような不思議な感覚がありました。次回は8年後に開催予定の卒業後50周年の同窓会、時代はもっと進んでいることと思います。その頃、私は時代についていけているのだろうか、再びのタイムトラベルではどんなことを感じるのだろうかなどと考えながら、しばらくの間、温かな余韻に浸っておりました。